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続「つよきす」レビュー
鮫氷 新一 (さめすが しんいち)CV 間寺司

主人公の悪友。スケベでお調子者で楽天家でヘタレで金が大好きだが、悪人ではない。彼女もいない。鮫氷という苗字なのでカッコ良くシャークと呼ばれたいがフカヒレと呼ばれてしまっている。対馬ファミリー(レオ・きぬ・フカヒレ・スバル)の道化担当。重度のギャルゲーマニアで、注目タイトルの発売日には学校を休むことも厭わない。常人から見れば狂気の沙汰だが、身に覚えのあることなので笑えない俺ガイル。自分の欲望の為には権力に媚びへつらうことも躊躇わないが全体的に爪が甘く、途中で自爆する辺りが期待(?)を裏切らない男。中の人がベジータだったりと無駄に豪華だ。

伊達 スバル (だて すばる)CV 柵間拓哉

主人公の親友であり、幼馴染。陸上部で体を鍛えているスプリンターで女性達にはなかなか人気があるが、本人は全く興味が無さそう。対馬ファミリーにおける頼れる兄貴分。家事も得意で常にレオの世話を焼いてくれる為、ついつい「いいのかい?俺はノンケだって喰っちまう(ry)」的展開を予想しがちだが、自身の荒んだ家庭環境から他の誰よりも対馬ファミリーの関係・雰囲気を「聖域」の如く大切にしているという熱い男である。どのヒロインルートでもレオの良き相談相手となり、正しく助演男優賞モノの活躍を見せてくれる。因みに中の人は、不可能を可能にする男・フラガマン。

次にシナリオについてですが、「舞台となる学校「竜鳴館」で、5月~9月末のひと夏を彼女達の誰かと仲良くなり、その毎日を楽しむのが目的。笑いあり青春ありHありの学園もの恋愛ADV。(OHPより)」。一言でいうならば「よくある普通の学園モノ」なのですが、このジャンルの肝は「如何にして平凡な日常を面白おかしく描くか」に懸かっています。本作品はこの点において非常に秀逸であり、プレイヤーを飽きさせず、先が読みたくなるテキストで綴られております。例えば主人公が朝起きて何気なくスイッチを入れたTVニュースでも、

アナウンサー「野生のクマが餌につられて民家に迷い込みましたが、無事に山へ帰されました」
      
       ちょっと和んだ。

アナウンサー「野生のクマが再び餌につられて民家に迷い込みましたが、何とか無事に山へ帰         されました」

       ちょっと和んだ。

アナウンサー「野生のクマがまたも餌につられて民家に迷い込みましたが、今度は射殺されま         した」

       クマ調子乗り過ぎ。

と、一事が万事この調子。平坦な日常描写を如何にしてプレイヤーの興味を持続させていくかを良く心得たテキストと云えます。更にいえば、共通ルートに比して個別ルートが長い為に複数回プレイに苦痛を感じない点や、個別ルートに入ってもサブキャラがどんどん物語に参加してくるのでお話が賑やかに膨らむ点なども好印象です。また何と言っても特徴的なのは、主人公たる対馬レオが能動的である点でしょう。「姫・なごみ」に代表される様に本作品ではゲーム開始時点でレオを歯牙にもかけないヒロインばかりであり、昨今主流の受動的主人公ではあっという間に雅史エンド確定間違い無し。僕達ずっと友達だよね……ってそんな未来はノーサンキュー。時代は恋愛もサッカーも「アクション・アンド・ムービング」なのです。そうですよね、柳下監督!(謎)。とにかく袖にされても拒絶されてもヒロインに向かっていくレオの姿は、古き良きナンパゲーを想起させます。……そっかー、田中美沙ってツンデレだったんだー。とオールドファン的呟きはさておき、若さ故の誤解や青臭いすれ違いを仲間達と一緒に乗り越えていく姿は爽やかな感動すら覚えます。そうして厳しい冬を乗り越えた先に待つのは暖かな春。そう、ツン→デレへのカタルシス。若い二人のぱやぱやが導く甘き桃源郷。すごいや、ラピュタは本当にあったんだ。

そんな訳で本作品のエロについてです。作中で行われる戦闘の大半が「処女VS童貞」であり、読売巨人の苦手な初物対決であります(←違)。我らが主人公対馬レオは初陣の気負いもあってか、投球フォームが硬くなりがちですが、知識経験無いけれどキャラとハートがおおまかカバー。そんなふしぎ星の住人たる俺達が望むのは試合の勝ち負けではなく、投球内容。無論ルーキーの悲しさ、先発完投は望むべくもなく小まめな継投策で回数を稼ぐしか手はないのですが、さすがにJFKの如き安定感は無い。といってミセリ程大崩れする訳でもないので割りと安心してみていられます。ただしレオのピッチングは緩急をつけて打取るタイプではなく直球で押していくタイプの為、攻勢に出ているうちは良いが守勢に回ると脆いという難点がある。スタミナが切れたルーキーに対し、満を持して襲い掛かる強気ヒロインズ。ああ、とうとう試合の主導権を明け渡さなければいけないのか……。そんな俺達の心にジョースター卿が語りかけてきます。

  ……なに?
  おねいちゃんが(俺達の)鉄砲を咥えて離さない?
  それは無理やり引き離そうとするからだよ
  逆に考えるんだ
  「あげちゃってもいいさ」と考えるんだ……

って、本当にあげる訳にはいきませんが「押してダメなら引いてみな」てなことで、守勢にまわった試合でも要所要所はきっちりと締めているので、試合後に監督から戦犯扱いされることもありません。因みに試合日程の都合上、直接対決は2~5試合とヒロインによってバラツキがありますのでご注意を。

総評です。プレイ開始5分後には騎乗依頼が来てしまいそうな初期好感度激高ヒロインが粗製濫造されがちなジャンルにおいて、凡百の学園モノADVとは一線を画す作品、それが「つよきす」であります。つれない女の子をあの手この手で気を引いて、悪戦苦闘の末に手に入れる……それは俺達が、かつて目指したエルドラド。昨今の学園ADVと云えば、ともすると伝奇モノやセカイ系といったものに逃げがちですが、作り手次第ではこうした正統派の作品でも充分に評価に値する作品が出来上がるのだと、再認識しました。とにかく対馬ファミリーを中心としたキャラの掛け合いがとても楽しく、エンディングが近づくにつれ「こいつらと別れたくねぇ!」と思うこと必至です。濃厚なエロ……はちょいと期待出来ませんが、ひたすら笑って愉しみたい方、最近の受身系主人公にはうんざりだという方には自信を持ってお奨め致します。
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by nekp | 2005-10-07 18:41 | 戯言:茶之介
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